「ハロー・ワールド」あらすじ&ネタバレ感想。未来の京都に思いを馳せる。

邦画
Youtube「映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告【2019年9月20日(金)公開】」より

「ハロー・ワールド」予告編ムービー

映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告【2019年9月20日(金)公開】

「ハロー・ワールド」あらすじ

本の世界に浸りがちで他人との関わりが少ない高校1年性の堅書直実。

ある日、謎のカラスに図書館で借りた本をひったくられた堅書は、本を取り戻そうと追いかける道中で見知らぬ男に出会う。

カタガキナオミと名乗るその男は、10年後の未来からきた堅書自身だった。

「一条瑠璃とお前を付き合わせてやる」と言うカタガキは、未来に起こる出来事を書き起こしたノートを片手に堅書の相棒となった。

堅書は無事に同級生の一条瑠璃と付き合うことができるのか? カタガキの目的とはいったい?

「ハロー・ワールド」感想

Youtube (映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告) より

仮想世界にいるけれどそこに住む人たちはそんなことを知る由もなく、ただ主人公だけ真実を知ってしまったという「マトリックス」のような設定なのですが、今作は現実と仮想という簡単な二元世界ではなく、現在進行で記憶される世界を舞台としているのが面白いところです。

仮想から脱出して現実の未来に戻って来ても、そこさえも記憶領域が延長された仮想世界なのでは?という疑いが出てくる。
カタガキがいた世界が実は現実ではなく、狐面(自動修復システム)が出現したことで仮想の世界だと判明したように、仮想→仮想というパターンがあるために時間的な流れと仮想・現実が入り混じって、理解が追いつかなくなるところがあるかもしれないです。

設定が難しい分、考察するのも面白くなります。僕はアルテラと違って脳みその記憶領域がめちゃくちゃに限られているので、大事なシーンを忘却してハチャメチャに間違った考察をしている可能性があります。

「ハロー・ワールド」ラストの考察

ラストシーン、研究室で目覚める堅書とそばにいる研究員らしき姿の一行が。これは2027年にカタガキが脳死した一行を目覚めさせた時と逆の構図なので、このとき堅書は脳死していたと考えられます。

では脳死していた堅書を目覚めさせたのは誰か?もちろん、一行ということになります。

ラストシーン前、ハローワールドというタイトルロゴが出る瞬間までは堅書が一行を助ける物語でした。これはこれで完結していたため、誰もがここでエンドロールが流れると思ったはずです。僕も「いい終わり方だった」と伸びをしていました。

しかし、ここでカラスの体に表示されていたメーターが出現して100%を指し、上記のラストシーンへ。あの3本足のカラスは一行がアバターとして使役していたことが分かります。

今まで見ていたものを違う視点から再帰させるという、このどんでん返しはとてもSFらしいなと思いました。

「ハロー・ワールド」古都に未来を見る

Youtube (映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告) より

今作は近未来の京都が舞台になっていて、伏見稲荷の千本鳥居や五重の塔などの歴史ある建築・風景と、グッドデザイン(堅書の手袋)から放たれるビビッドな色彩のミスマッチ具合が最高に目に楽しいんですよね。

そういった過去と未来の融合を見ると、新しきを以って故きを守るのって素敵だなぁーエモいなぁーと

例えば京都の清水寺に新宿アルタみたいな大型ビジョンを設置したら興ざめというか、お寺造った人に怒られそうだし、ロボットが観光案内するのも風情が無いなって感じで、ハイテクとローテクが並存したらやっぱり違和感がある(そりゃ新しいモノと古いモノがあったら当たり前におかしさを感じるけど)。

でも、京都の風景を保存するというアルテラの元来の目的からも言えることで、歴史の保存という観点から見るとそれらは相性がいいというか、切っても切れない関係性なのではないかなと思ったり。
被災地の風景にタブレット端末をかざしたら、AR技術で元々あった風景が映し出される、という活動例も実際にありますし。

ハイテクノロジーのソフト的な面でローテクノロジーのハードを守る、そして元あった通り(のよう)にしてしまうってスゴいですよね。劇中では保存された歴史に実際に触れることができてしまいますから、そういった今の延長線上にある未来を見て考えさせてくれる、まさに堅書のSF小説が好きな理由のようなテーマの深みがありました。

「ハロー・ワールド」敬語の一条さんカワイイ

Youtube (映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告) より

ラブストーリーに関しての印象は、等身大の高校生の純愛という感じ。ただし「ハイスピードSF青春ラブストーリー」と称されているとおり、展開は非常に早いです。

出会いが特別というわけではなく、言ってしまえば毎日通っている学校の同級生なだけなのでドラマティックさに欠けるうえ、「君の名は。」よろしく主題歌をバックにしたダイジェストシーンで進展を早送りさせるシークエンスがあるので、気持ちが追いつかないところがあるかも。
一条さんと付き合い始めたところからが物語の本章のようなものだから致し方ないのは分かるけど、もうちょっと二人の馴れ初めを掘り下げて欲しかった。

しかし!ここで萎えるのは早い。

なぜかって堅書と一行さんの関係性に一切共感できなくても、一行さん単体で可愛いからだ!

読書家で人と関わりを持たず内向的ではあるけどトンガったところもある一行さん。同じく本好きの堅書と一緒に図書委員の活動をするうち、だんだんと気をゆるしていく様子がなんとも可愛らしい。

で、堅書に対して心を開きつつも、終始敬語というのもポイント。敬語萌えってあると思うんですよ。
何も知らない第三者の視点で見ると、敬語で話す二人の間に特別な関係があるとは考えづらいんですけど、当人たちは親密な関係というのを自覚し合っているっていうのが素晴らしい!

「ハロー・ワールド」運命ではない馴れ初め

冒頭シーンの堅書とクラスメイトたちとの会話を見れば分かる通り、根暗の堅書が除け者にされていたりいじめられているというわけでは無いんですよね。むしろ周囲の人たちに積極的に話しかけられていたり、本好きとして図書委員にならないかと打診されたりと堅書の存在は認識されている(変に気をつかわれているとも見ることができる)。

最良とも最悪とも言えないモブたちとの関係は言ってみればフラットなので、堅書と一行さんの関係性のみに集中できます。一応勘解由小路三鈴というアイドル的存在はいるけど、学校の人気者として描かれるのみで、物語に深く関わるわけでは無いので(勘解由小路さん視点で恋路が描かれるスピンオフ小説が出ている)。

図書委員で他の人のSNSグループに参加できなかったり、クラスメイトに堅書という漢字を覚えられていなかったりと人間関係が形成できない自分に悩んでいる堅書だけど、その反面読書という居場所を作り自分の世界を楽しんでいる印象

そういった性質は一条さんも同じで、それぞれの居場所がたまたま共通していたから始まった関係と言える。「重ならなくても何も問題ないけど重なってみました」というのが純愛っぽくてイイ。

古本市が無事成功したあと、堅書が勇気を振り絞って告白するシーンはグッときます。なんなんだこの清純感・清潔感は
そしてメイド姿の一条さんは言葉を濁しつつも照れを隠しきれず赤面。スンバラシイ。

「ハロー・ワールド」感想のまとめ

作品の世界観や一条さんの可愛さ、テンポの良さなど全体的に見やすく、鑑賞後に満足感がありました。特に一条さんのキャラ設定と、浜辺美波ちゃんのカドはないけどしっかり圧のある声がマッチしていてよかった。カタガキを演じた松坂桃李くんもほどよい渋み。堅書を演じた北村匠海くんの声はもうちょっと感情が乗っていたらよかったと思う。

疾走感や物語のドラマティックさには欠けるけど、量子の表現や敵(自動修復システム)の物量やアルテラ内のフシギ世界など、グラフィカルな表現に富んでいるので、それを追いかけて見るだけで楽しかったです。

ただフィクションの設定としては目新しいわけではないので、SF作品にいっぱい触れてきた人にとっては物足りないと感じるかもしれません。

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