「エイス・グレード」あらすじ&ネタバレ感想。ケイトが自分らしさを見つけるまでの物語。

洋画
Youtube「全米で社会現象!SNS時代の青春映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』」より

「エイス・グレード」予告編ムービー

全米で社会現象!SNS時代の青春映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

「エイス・グレード」あらすじ

中学生のケイラは無口で人と関わりを持てないことに悩んでいた。

中学卒業の直前、「無口で賞」なる不名誉を受け取ったケイラは現状を変えるため一念発起する。

クールなあの子になれるように、クールな彼に振り向いてもらえるように様々な行動を起こしていくが…

「エイス・グレード」感想

Youtube エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ 予告編より

イケてるグループにとってコミュニケーションの一環であるSNS。学校内でクールな彼ら彼女らは、SNS上でもイケてる投稿ばかりで、周りと馴染めないケイラにとっては劣等感が刺激される原因になっている

僕もツイッターで他人が幸せそうにしているツイートを見ると素直に喜べず羨望や妬みが先に出てきてしまうタイプです。厄介なのが、ネガティブになることを自覚しつつもSNSを辞められないというところなんですよね。そういう点で、とりつかれたようにスマホをひたすらスワイプするケイラに非常に共感できます。

ただケイラが違うのは、そこで諦めずにクラスメイトたちに積極的にアクションを仕掛けるところ。
多数派に馴染みきれないことを本人は肌で感じているけれど、大人に比べて広がりきっていない視野や、学校という場所がもたらす閉塞感がケイラを限定的で脅迫感に満ちた行動に突き動かすんですよね。

劇中でケイラはとにかく和を乱さないよう、そして自分を受け入れてもらえるように相手の求めるモノを探しています。いわゆる陽キャのケネディに嫌われていることを察してパーティの誘いを断ろうとしたり、ケイラが憧れるイケメン・エイデンが求めているものを大胆にも提供しようとしたり。

居場所を探すケイラの健気な姿は、観ているこちらの感情をも揺さぶります。理想に向かって奔走するケイラを拳を握って応援したくなるし、期待に反して冷たいレスポンスが帰ってくるシーンを見ると、心にズキズキきてしまう。

「エイス・グレード」曖昧な拒絶

Youtube エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ予告編より

ケイラは明確にいじめられているわけではないというのも注目すべき点だと思います。

クラスメイトたちにそっけない態度をとられるけど、ケイラという一人の人間を把握しての行動ではない。なんというか「あの子雰囲気的に違うよね…」みたいなのを感じとって距離をとっているんですよね。

ケイラが話しかけた相手はみんなスマホの画面に釘付けで空返事で、まるでケイラを背景の一部と捉えているかのよう。いじめが明確な拒絶だとしたら、ケイラの場合は曖昧な拒絶をされているような感じ

どちらが辛いかなんて計り知れないけれど、「ひょっとしたら関係を築ける余地があるのではないか?」という期待がケイラを動かし、そして傷つけているといっても過言ではない。

それでも奮闘するケイラの振る舞いを見ていると、学校生活を無事終えて大人になった立場から「やりすごして時が経つのを待とう」とか「自分なりの楽しみを見つけよう」だとか、ほかの選択肢を与えてやりたい気持ちでいっぱいになるんだけど、当事者であるケイラにとってはマイノリティであることがなによりも危機で、なんとしても改善すべきものとして写っているのだろうな、というのが痛いほど伝わってくるのです。

「エイス・グレード」父の存在

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ケイラは友達付き合いだと気を遣って自分を殺しがちだけど、家の中では感情的な場面が目立ちます。食事そっちのけでスマホをいじっていたら父に話しかけられイライラするケイラ、先輩に遊びに誘われて喜びを隠しきれないケイラ、嫌いなバナナをすすんで食べるものの吐き出して逆ギレするケイラなど、外向きのケイラとの落差が大きい。

外に居場所がないからこそ、家の中、とりわけケイラの部屋では自分を解放できる。そんなケイラにとって唯一の居場所に、父親であるマークが頻繁に顔をだすんですよね。
父親としておせっかいをかけるのですが、彼とのやりとりが実にハートウォーミングなんですよね〜。

妻が家から出て行ったあと、シングルファザーとしてケイラを育てたマークはデジタルの世界に入り浸っている娘を心配に思っています。だからこそ友達に遊びに誘われたケイラを本人よりも喜ぶし、時には鬱陶しく思われるくらいに、娘が楽しく過ごせているかどうか見守っているんです。この父あって娘ありと思えるほど温厚な性格で、見ているだけでほっこり。

そんな父親に辛くあたるケイラだけど、それは「父さんに心配させたくない、惨めに思わせたくない」という思いからなんですね。

終盤の父親への告白で、ケイラが「もし自分が自分の親の立場だったら」ということまで考えていることがわかります。「自分のような子供を持って惨めな思いをしているだろう」と自責の念に駆られてしまっている。

ケイラが周囲の人間に受け入れてもらうことに執心し、そこに焦燥感さえ感じるのは、自分のためだけでなく父親のためでもあったわけです。

マークが「手をかけなくても立派に育ってくれた」とケイラを誇りに思っていることにも頷けますよね。

「エイス・グレード」ありのままを受け入れてもらえるありがたさ

スマホに釘付けになっているケイラに対して「もう少し社交的にならないか」と言ったのは、周りに流されず、ケイラらしさという価値を見出してくれる友達を見つけて欲しいという意味だったのだと思います。

身内・他人に関わらず人の発信が入り乱れる時代だから、人の価値観を無意識にあてはめてしまって、自分らしさが分からなくなってしまうことが往々にしてある。

そんな時代・環境で、身近な人にありのままを肯定してもらえることがどれほど尊いことか。父親にありのままの自分を肯定されたケイラは、大きな安心感に包まれたことだと思います。

「エイス・グレード」自分らしさを見つけたケイラ

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ケイラの周りへの思いやり・献身さがこれでもかと伝わってくるからこそ、ケネディの従兄弟であるゲイブに対して、気を使ったのではない自然な微笑みを浮かべたシーンに飛び切りの安心感を覚えたし、極め付けのラストで自分自身を表に出したケイラを見て救われました。

映画のプロローグでケイラがYoutuberとして問いかけていた「自分らしさ」を認められたのは、父親に肯定されること・ありのままを受け入れてくれる友達に出会ったからだと思います。

意外なところに居場所を見つけたケイラは、高校生の自分に宛てたビデオメッセージに「楽しんでる?楽しんでなくても大丈夫、いつか過ぎるから」という言葉を残します。

「時間が解決してくれることもある」と気づいたケイラのこの言葉は、傷ついた彼女自身を抱きしめるかのように響きました。

「エイス・グレード」感想のまとめ

周りと馴染めないなかで、自分を奮起させてもがいて傷ついていくケイラの姿は痛々しく、僕自身も自意識が芽生え始めた頃の苦しさを思い出してしまいました。学生時代に居場所がなくて孤独を感じた人ならば、大いに共感できるハズ。

また、急激な技術の発達の副作用的な面の一つとして揶揄される「SNS疲れ」という現代的な病が描写されているのもポイント。このワードが近年多く目につくのは、大人でも悩み考えるべきテーマだからだと言えます。

そういった時代がもたらす悩みと、学校や思春期における普遍的な悩みとが混ざり合い、まさにイマどきでリアルな作品になっています。

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