「マイ・ビューティフル・デイズ」あらすじ&ネタバレ感想。先生と生徒の不思議な日々。

洋画
Youtube「11.1(金)公開『マイ・ビューティフル・デイズ』予告編」より

「マイ・ビューティフル・デイズ」予告編ムービー

11.1(金)公開『マイ・ビューティフル・デイズ』予告編

「マイ・ビューティフル・デイズ」あらすじ

とある高校生ビリーは、英語教師であるスティーブンス先生のことが気になっていた。
ある週末、同級生のマーゴットとサムとともに演劇大会に出ることになったビリー。
一方、大会への引率をすることになったスティーブンス先生には、行動障害であるビリーについて心に留めておくよう校長先生からの指示があった。

恋心をもったビリーの行動に困惑するスティーブンス先生だったが、校外活動の異様な空気感が2人の関係を包み込んでゆき…

「マイ・ビューティフル・デイズ」感想

Youtube「11.1(金)公開『マイ・ビューティフル・デイズ』予告編」より

教師と生徒の禁断の恋を描いたラブロマンス。その恋は大きく進展するわけではないのだけど、立場の違いをものともしないビリーの熱烈アタックと、それを受けて困惑しつつも心の悲鳴を聞き取ってくれるビリーに救われるスティーブンス先生の葛藤はもどかしく、どんな結末を迎えるのか終始気になりすぎる作品でした。

そんな一進一退のビリーとスティーブンス先生の傍らでは、演劇に熱中するマーゴットと独特の美意識のあるサムがまた違った物語を紡いでいます。このコメディチックなキャラの2人は、ビリーと先生の関係性の重さにイイ意味で軽さと明るさを与えていてその加減も絶妙。ビリーの同級生として、そしてスティーブンス先生にとっては手間のかかる生徒として、薄すぎず濃すぎずな立ち位置を保っています。

「マイ・ビューティフル・デイズ」世話焼きなスティーブンス先生

Youtube「11.1(金)公開『マイ・ビューティフル・デイズ』予告編」より

原題は「Miss Stevens」となっていて、英語教師であるスティーブンス先生(以下先生)の心の機微を捉えた作品になっています。

先生の感情を揺るがすことになるのは、校外活動として演劇大会の引率をすることになったのがきっかけ。教壇に立って生徒達を教育するという普段の一方的な関係から引率を務めることで一歩進み、双方向性のコミュニケーションが発生します。その結果、汚い言葉を使わないように教師として指導していた先生本人が汚い言葉を連発してしまうくらいに仕事の意識が薄れ、壁が崩れていく。友達のような関係に変容していく様子は、見ていて楽しかったです。

例えば、不意にビリーから「レイチェル」と名前呼びされた先生が困惑するシーン。マーゴットとサムから疑惑の眼差しを向けられた先生は、「スマホを置きなさい」と教師としての立場を取り戻そうと必死になります。思い出したかのように威厳を見せる先生に「先生だってワインがぶがぶ飲んでたじゃん…」と言いたげに理不尽を訴える2人の表情が面白かった。

他にも、バーで出会った男の子と上手くいかずイラつくサムを慰めたり、演劇大会の発表本番でセリフを忘れてしまい失意に落ちるマーゴットを元気付けたりと、とにかく生徒からの振り回され具合がハンパじゃない。ただ、教師としての立場を超えて彼らに関わろうとする先生の性質も問題のタネなんですよね。バーで知り合った同業の男性にその苦労をぶつけると、「生徒には深入りしないことだ」とアドバイスされるほどだし。

生徒との関係に線を引かなければならない立場なのは重々承知しているけど「一人の人間を前にしてそんなことはできない」というスティーブンス先生の献身さというか、世話焼きなところがひとりの人間としてスゴく魅力的で、この作品のおもしろさに直結している点だと思います。

「マイ・ビューティフル・デイズ」ビリーにとってのスティーブンス先生とは

そんな生徒を仕事上の関係としてキッパリ割り切ることができないスティーブンス先生の前にビリーが迫るわけです。
冒頭の授業シーンで模範解答より先生の考えを聞きたがるビリーは、演劇大会に臨む前からスティーブンス先生のことが気になる様子。先生はフツーに美人で若いのでそう思うのも分かります。

で、演劇大会の日々のなかで先生の知らない一面や、学校では見たことのない表情を見ることで、ビリーの先生への憧れが具体的な形を模してくるんですよね。そして彼はなんとかして先生と関わりを持とうとアクションを仕掛けていきます。クルマのタイヤ修理に付き添ったり、夜ご飯代わりにスナック菓子をプレゼントしたり。
終盤で明かされる通り、ビリーは行動障害にもかかわらず大会中は薬を飲んでいなかった。それもあって先生を質問攻めにしたり、あからさまにプライベートな部分に突っ込んだりするんですよね。

でも、人との距離の詰め方がわからない時って概してこうして相手を困らせるもので、適切な言動・行動ができないという行動障害に限るものではないと思います。先生を困惑させるビリーだけど、彼の抱いている気持ちの強さには大いに共感できるし、その行動に見られるぎこちなさは愛らしい。

一方でスティーブンス先生の方は積極的に距離を縮めようとしてくるビリーをうけ流そうとしつつも、その意思をハッキリと表明できずにいるので結局振り回されてしまいます。が、最後までビリーのワガママに付き合っているわけではなくて、相手との境界をものともせず突飛な行動をする彼に救われる場面も出てくる。

同業の男性に「一夜限りの関係だった」と釘を刺されたショックから自暴自棄になり酒に溺れていた先生の心を癒し、演者である母が亡くなったというプライベートでハートブロークンな話題を引き出させます。
この出来事で距離感は明らかに大きく縮まったけれど、先生がビリーに恋心を抱くわけではないんですよね。同年代かのように生徒達と向き合っているけど、無意識でちゃんと境界は作っている。
その点ビリーにとってその境界は見えないか、あるいは極めて薄いんですよね。だから先生から拒絶されるたびに理解できずに「なんで?なんで??」と繰り返す。

こうした彼の一連のふるまいを見ると、相手との世代や立場が違っていても、ビリーにとっては純粋な恋の一つなのだなぁと思ったり。
作中で印象的なアメリカの名曲「Sister Golden Hair」は金髪の女の子に抱く少年の恋心を歌ったものですが、それがビリーの心情の普遍性を表しているように感じました。

「マイ・ビューティフル・デイズ」マーゴットとサム

結局この作品では、ビリーの恋路は彼の望むようなかたちにはならないんですが、鑑賞後は心に爽やかな風が吹いたような心地よさがありました。

高校生たちが主役なので一定の爽やかさは保証されているし、先生への恋も割とよくあることです。でも、その恋の実らなさからくる感情のドス黒さというか、重さは結構重量級だと思うんですよね。だからスティーブンス先生もビリーもお互いにモヤモヤ〜っとした感じで結末を迎えるんじゃないかと予想してました。

でも、そんな重さを不思議と感じなかったのは、先生とビリーのそばでマーゴットとサムが喜んだり悲しんだりと感情のサイクルをぐるぐる回していて、それが本筋のストーリーの重みを取り除いてくれたのが大きいと思いました。それに、演劇大会という4人の共通目的がビリーの名演技による準優勝というかたちでハッピーに終わったのも、鑑賞後の開放感につながっています

そしてラストの青空教室で「華麗なるギャッツビー」の試験を受けるビリーとそれを応援する仲間たち。このシーンをもってスティーブンス先生とマーゴット、サムそしてビリーが、教師と生徒という普段の関係に立ち返った感じがしたんですよね。それは彼らにとって過去を名残惜しくさせると同時に、この数日間の思い出が切り取られ、その日々の不思議さや美しさを再確認させられる瞬間でもあったんじゃないかな、と思います。

「マイ・ビューティフル・デイズ」感想のまとめ

Youtube「11.1(金)公開『マイ・ビューティフル・デイズ』予告編」より

生徒達はおろかナンパしてきた男にさえ振り回される始末のスティーブンス先生。なにもかも思い通りにはいかないことに苛立ちを覚えてタバコを吸う姿も別の美しさがある…。そしてビリーを演じるティモシー・シャラメが醸し出す純朴さやアンニュイな雰囲気もグッドです。
ビリーとは付かず離れずな関係のマーゴットとサムも個性的で、この作品になくてはならないほどの存在感を放っています。ハイスクール・ミュージカルのシャーペイとライアンみたいな。

キャラクターが魅力的なだけでなく、小さく収まりつつも愛しさが溢れる物語もスンバラシイ。「マイ・ビューティフル・デイズ」という邦題はとても的を射ていると思います。

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