「男はつらいよ お帰り 寅さん」あらすじ&感想(ネタバレなし)。シリーズ初見の人こそ、この作品を!

邦画
Youtube「映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像」より

「男はつらいよ お帰り 寅さん」予告編ムービー

映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像
Youtube「映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像」より

「男はつらいよ お帰り 寅さん」あらすじ

諏訪満男は、娘のユリと二人暮らしをする駆け出しの小説家。

小説家としてのキャリアが本格的になっていく傍ら、妻であった瞳と死別してから6年という月日がたち、親族から再婚の勧めを受けるように。

「再婚相手などいない」と言い放つ満男だが、母のいない娘のことを考えると、複雑な気持ちになっていた。

ある日、作家としてサイン会を実施した満男は、初恋の相手・イズミと遭遇し…

「男はつらいよ お帰り 寅さん」感想

Youtube「映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像」より

「男はつらいよ」シリーズ50周年記念作品の「男はつらいよ お帰り 寅さん」を試写会で観てきました!

50周年というとても長い歴史をもつ「男はつらいよ」シリーズですが、僕自身はこれまでに1回も観たことがありませんでした。BSとかでちょくちょく再放送されているのは知っていたのですが、なにせ生まれる前の作品なので、なかなか食指が動かず…。

なので、どんなストーリーなのか? 寅さんとはナニモノなのか?など、全てが未知の状態での鑑賞。昭和的な雰囲気に馴染みのない、平成生まれの僕が果たしてこの作品を楽しめるだろうか?とドキドキだったのですが…

結果、とても楽しめました。

リアルタイムでシリーズを見てきたファンはもちろん、今まで一度も見たことがないという人も、寅さんと彼に振り回される家族のやりとりをみるだけで笑顔になれること間違いなし。
「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、そんなフトコロ深い作品でした。

「男はつらいよ お帰り 寅さん」今と過去が違和感なく混ざり合う

Youtube「映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像」より

今作は、寅さんの甥っ子である諏訪満男がメインのストーリーを紡いでいくのですが、そのところどころで、既作で活躍した寅さん一家の物語がハイライト的に挿入されます。

満男が実家に帰ったときには、皆を騒ぎの渦に巻き込む自由人としての寅さんが、
初恋の相手と再開したときには、恋愛相談に乗ってくれる男としての寅さんが、
そして人生に迷い悩んだときには、何気ないけれど、心にしみ入るような言葉をかける大人としての寅さんが。

寅さんの記憶が蘇っては、いまを生きる満男たちの感情を様々なかたちで揺さぶっていきます。「あの頃は良かったなぁ…」みたいに、過度に懐古的になって目の前の大事なコトをないがしろにするのではなく、昔を思い出して今を生きるための糧にしている感じ。寅さん時代の方に比重を置きすぎない作りになっているので、本作で初めてシリーズに触れる人も自然に入り込めると思います。

また、現在と過去のシーンはわりと頻繁に入れ替わるんですが、そのシーンチェンジが非常にシームレスだったことにも感心しました。ストーリーの流れをぶつ切りにするような、違和感を覚えるシーンチェンジじゃないんですよね。
おそらくこれに関しては、過去作の映像を4Kデジタル修復したことによって、今と現在の映像技術的なギャップを小さくしたことも大きく寄与していると思います。“4Kデジタル修復”が具体的にどういう技術かと言われれば僕も説明できないんですが…とにかく「キレイ!」ということでしょう。

そういった工夫もあって、僕が個人的に懸念していた昭和臭さや古臭さみたいなものは全く気になりませんでした。とにかく、「本作が初めて観る寅さんシリーズだという人を置いてけぼりにはさせないヨ!」という制作側の意思を感じるんですよね。それでいて、寅さんがいた頃の賑やかな過去シーンもたっぷりなので、シリーズファンも大いに楽しめると思います。

僕は過去作に触れていないので、往年のファン目線からの確かな感想はお伝えできないのが残念なところ。ですが、今回僕が出向いた試写会では、リアルタイムでシリーズを見てきたであろうご年配の方が多く、その人たちから上映後に温かい拍手が巻き起こっていたのが印象的でした。おそらくファンの方々も納得できる作品だったのではないでしょうか?

「男はつらいよ お帰り 寅さん」笑いの中心の寅さん

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今までシリーズを見ていなかった平成生まれの僕ですが、ただ1つだけ「男はつらいよ」に関して記憶に残っていることがあるんですよ。

それは、夕ご飯を食べながらテレビで再放送されている「男はつらいよ」を見ている父が、ことあるごとにゲラゲラ笑っていたこと。

その様子を見た当時中学生ほどの僕は、子どもながらにこう思ったものです。

「なにが面白いねん」と。

正直、その時寅さんのやりとりを詳細に見ていたわけじゃなく、画面が昭和丸出しで古臭いドラマを見て大笑いしている父に、ばくぜんとした嫌悪感みたいなものを抱いていただけなんですけどね。

とにかく、完全な食わず嫌いとはいえ、作品に対しても父に対しても理解が及ばない僕だったわけです。

で、たまたま試写会に当選して今作を観た僕は、その父の笑いの意味がようやく理解できました。

もうね、寅さんの一挙手一投足が面白いんですよ。

僕を含め試写を鑑賞している人たちの多くが、僕の記憶のなかの父と同じように笑っていました。こんなに笑い声が溢れる映画館もあまりないハズ。

満男たちが紡ぐ現在の物語はわりとシリアスに寄っているので、寅さんが出てきた時のコメディ要素との落差が効いてるというのもポイントです。同時に寅さんの唯一性も浮き出てきて、エンディングに向かうほどに、満男や彼の家族にとって寅さんがいかにかけがえのない存在かが分かってくるんですよね。

「男はつらいよ お帰り 寅さん」寅さんの人間性

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寅さんが出てくるたびに笑ってしまうほどなんですが、寅さんは別にお笑い芸人のようにボケるわけじゃありません。全て天然モノ。

じゃあ何が面白いのかというと、表面的なモノではなく、彼の性格から滲み出てくる言動・行動がことごとく面白く、そして魅力的なんです。

例えば、寅さんの妹夫婦をはじめ親戚の人たちは頑固で怒りっぽい寅さんの性格を熟知しているので、どうにか平穏を保つために気を遣っているけれど、ちょっとしたことでその望みは断たれて寅さんが激怒する…というのはお決まりの流れになっています。

周りの人は「また始まったよ…」という顔でやり過ごしているけど、寅さん自身は本気で怒っている。この構図がメチャクチャ面白いのです。

で、これだけ聞くと、寅さんは周囲の人間から鬱陶しく思われているだけの厄介な人間としか映らないんですが、根底にはちゃんと愛されるべき人間性があります。
親戚たちに荒々しい説教をする一方で、寅さんが度々柴又に連れてくるマドンナにはデレデレ。いろいろな感情のスイッチが丸見えというか。本作だけでも、寅さんの純粋でわかりやすい性格が際立っているんですよね。

さらに寅さんは、さすらいの旅人というだけあって自由奔放だけど、ちゃらんぽらんなばかりでなく、自分の考えもしっかり持っています。だから、周囲の人間が相談を持ちかけたり、頼りにするようなシーンも多い。

本作を観終わった後に感じた仄かな暖かさは、笑いの絶えない家族の中心に存在する、寅さんの人間的魅力がもたらすものなのだと思いました。

「男はつらいよ お帰り 寅さん」感想のまとめ

Youtube「映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像」より

「男はつらいよ」は1968年から69年にかけてテレビドラマとして放送され、ドラマ終了後にも映画作品が次々と制作された人気作品。

50作品目を本作で迎えるわけですが、そんな歴史が長いシリーズにもかかわらず、初めて見る人への配慮がなされているので、むしろ過去作をさかのぼって観るキッカケとして本作を観るべきなんじゃ?と思うくらい素晴らしい構成でした。

もちろん長年のファンも満足できるよう、過去の映像も贅沢に使用されているので、本作は「男はつらいよ」の現在と過去がメチャバランスよく融合した作品と言えます。その比重が絶妙なんですよ。

映画業界初の施策として話題の「中学生以下100円鑑賞キャンペーン」も公開初日から実施されるので、これはもう親子で観に行って、心身ともに冷える日々へのご褒美としてポッカポカになってしまうチャンスだと思います。

総評すると、「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、50周年に加えて50作品目という節目を祝うおめでたい作品にして、その歴史に恥じない満足感ある出来になっていました。

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